パン酵母とホタテガイ精巣を使ったカルモジュリンの生理的機能の研究に加えて、 カルシニューリンと当研究室で発見した新規カルシニューリン結合タンパク質CaNBP75の機能解明を進めてきた。また、平滑筋の収縮調節機構の研究は、ミオシン分子からと、そのリン酸化制御システムを構成するミオシンキナーゼ、 ミオシンホスファターゼおよびその内因性の阻害タンパク(CPI17)の研究の両面から進めてきた。さらに、細胞の運動・形態変化に関わる分子機構の解明のため非筋細胞ミオシンを中心とした研究を多角的に展開してきた。
これまでの流れを受け継ぎ、精巣でのカルシニューリンとCaNBP75の機能解明にむけた研究と、細胞の運動・形態変化に関わる分子機構の解明のため非筋細胞ミオシンを中心とした研究の二本柱で、研究を展開してきた。
村上教授がこれまで取り組んできた、ヘテロクロマチンの形成、制御機構の研究が新たに加わった。遺伝子発現制御や染色体機能・維持に重要なクロマチン高次構造であるヘテロクロマチンについて、その構造がどのようにして形成され維持されるのか、あるいはヘテロクロマチンの多様な機能がどうのように制御されているかを、分裂酵母をモデル生物として、分子生物学、生化学的手法を用いて研究を行っている。 また、これまで行ってきた細胞の運動・形態変化に関わる分子機構の解明にむけた非筋細胞ミオシンを中心とした研究と、精巣でのカルシニューリンとCaNBP75の機能解明にむけた研究も継続して行われており、それぞれの研究テーマ間でも互いに刺激を与えながら、日々研究が進められている。