生物有機化学研究室は、細胞内でおこる生命現象を分子のレベルで理解しようとしています。「生物学」(現代的には生物科学-ライフサイエンス?)はいうまでもなく「生物」を研究対象としています。一方、「化学」は化学を対象にした学問ではなく、世界の様々な現象を科学的に理解するための一つの有力なアプローチの方法を示しています。ですから「化学」の研究対象は無機物から生物まで大きな広がりがあります。私たちは、化学専攻の中で、生命の不思議を化学的に解き明かせないものかと努力しています。私たちが実際に取り組んでいるのは、細胞の多様な機能を、タンパク質や核酸といった生体分子の構造と性質、あるいは生体分子間の相互ネットワーク、といった観点から明らかにする研究です。
研究を進める原動力は、研究者・学生の生命に対する好奇心であることはいうまでもありません。それに加えて、なにか1つ自分の得意技を持ってのぞむことができれば、その好奇心から芽吹いた研究は無限に発展するはずです。化学は、物質(原子・分子とその集合体)を取り扱うための基本になります。化学科は、出発点での得意技として化学を選ぶ人の集まりということになります。しかし、それに加えて広い分野から生命の不思議に対し強い好奇心をもつ人が集まることで研究が発展すると期待しています。
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