生物有機化学研究室

北海道大学  大学院総合化学院理学部 化学科

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研究内容
 細胞内では実に様々な反応が複雑なネットワークを作り、最終的に一つの細胞を生存させ、さらに増殖・分化させている。我々は「信号伝達」「遺伝子機能制御」「細胞運動形態制御」の3つの現象に興味を持っている。各現象の中でも下図に示すようなテーマに着目し、それぞれ鍵を握る分子、あるいは構造に着目し、遺伝学・生化学・分子生物学・細胞生物学など種々の手法を駆使して詳細な研究を進めている。それぞれテーマは違っていても、研究を進める基本的枠組みや手法は共通であり、相互に議論し刺激を与え合いながら生命の神秘を解き明かすべく研究に励んでいる。
ヘテロクロマチン形成・制御
 遺伝情報の担い手であるDNAは何重にも折りたたまれて細胞の核という容器の中にパッケージングされている。この折りたたみの基本になるのがヒストン蛋白質とDNAからなる「クロマチン」構造である。核には多様なクロマチン構造が存在するが、その中でも「ヘテロクロマチン」と呼ばれるクロマチン構造は、細胞の分化・老化・がん化に関わるだけでなく、DNAの収納単位である「染色体」の維持にも深く関わっている。このヘテロクロマチンが、どのように必要な場所と時間に形成されるのか?またそれがどのように維持されるのか?さらにヘテロクロマチンの機能はどのように制御されているのか?わたしたちはこれらの疑問を解き明かそうとしている。
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細胞形態の変化と維持の制御
 わたしたちの身体を構成する様々な細胞は種類に応じて特有の形態をし、その形態を維持することで機能する。また、細胞が分裂する時や遊走する際には、その形態が変化する。この細胞形態の変化と維持には、細胞骨格の構成成分のひとつであるアクチンが局所的に重合しフィラメントをつくること、また、そのアクチンフィラメントを動かすモータータンパク質であるミオシンIIが局所的に働くことが重要である。わたしたちは、ミオシンIIがどのようにして、必要な時に必要な場所で機能できるのかに興味をもち、研究を続けている。
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Ca2+イオンを介した細胞内シグナル伝達制御機構
 細胞は外界からの刺激を受けて様々な応答を示す。通常、細胞質のCa2+濃度は低いレベルに保たれているが、刺激に応じて局所的に、短期間上昇し、細胞内シグナル伝達物質として働く。私たちは遺伝子発現制御からタンパク質の機能調節まで、Ca2+を介した種々のシグナル伝達経路で重要な働きを担うCa2+スイッチ分子であるカルモジュリンと、タンパク質脱リン酸化酵素のカルシニューリンに注目し、必要な場所で必要な時だけ機能するメカニズムを明らかにようとしている。
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